生物測定学研究室
研究テーマと特徴
- ゲノムデータをもとに、新品種を高速に開発する
- 生物を、様々な視点から、正確に測定する
- 生物の環境応答をモデル化し、食料問題の解決に貢献する
私達は、データ科学を応用して生物の遺伝的能力を効率的に引き出し、食料生産に利用するための研究を進めています。例えば、ゲノミック選抜は、統計モデルや機械学習を用いて、DNA情報をもとに個体の能力を予測することで品種改良を高速化できます。また、遺伝的能力の正確な把握を可能とする様々な測定法の開発も行っています。現在は、環境応答する植物をモデル化し、モデルをもとに品種改良や栽培管理を最適化する方法について、特に注力して研究を進めています。
ゲノミック選抜
DNA情報をもとに個体の能力を予測できると、果樹のような遺伝的能力の評価に何年も必要な作物でも、発芽直後などの早期の選抜が可能となります。また、優良な子孫を得るための有望な交配組合せをDNA情報から予測することも可能です。
生物の正確な測定
生物を正確に測定することは品種改良や栽培管理において非常に重要です。ドローンや自動走行カートを用いて、フィールドで成長する植物の3次元構造や色の計測をする手法や、計測されたデータを定量的に記述するための手法の開発を行っています。
環境応答のモデル化
環境変動下で安定した食料生産を行うには、不良環境で生産性を向上させることが重要です。多雨な日本でも、干ばつ条件での大規模栽培試験ができるシステムを構築し、地上部と根の生長、生理状態(栄養素、代謝産物)を計測し、水分ストレスへの応答を遺伝と環境の両面からモデル化ししています。得られるモデルは、品種改良や栽培管理の効率化に利用でき、食料生産性の向上に貢献できると考えています。